広島県尾道市御調(みつぎ)町。ここはかつて、お正月の鏡餅を彩る「串柿」の一大産地でした。しかし、時代の変化とともにその習慣も薄れ、地域は次第に活気を失い、放置された柿の木が山へと還りつつありました。「この美しい景色と、代々続いてきた美味しい干し柿を後世まで残したい」。そんな想いから立ち上げたのが、栽培から加工、販売までを一貫して手がける尾道柿園です。私たちの自慢は、標高350メートルの高台を吹き抜ける里山の風と太陽の光、そして手間暇を惜しまない手仕事です。
干し柿には、ブランド柿である「西条柿」を使用しています。西条柿は形が複雑で、4つの深い溝があるため、機械では剥くことができません。そのため、一つひとつピーラーで丁寧に手剥きをしています 。さらに、私たちは色を綺麗に保つための硫黄燻蒸や添加物を一切使いません。この地の澄んだ空気と天日干しだけで、柿本来の糖分が表面に真っ白な粉として吹き出し、中身はしっとりと柔らかく、極上のスイーツのような甘さに熟成されるのです。自然の恵みに感謝しながら仕上げるこの味は、一度食べれば忘れられない、優しく力強い美味しさです。
地域には、かつて串柿に使われていたものの、今は誰にも収穫されず山に放置されている「上丸柿(じょうがんがき)」がたくさんあります。これらを無駄にせず、新たな価値を吹き込んだのが、私たちの「柿酢」です。
この柿酢は、農薬不使用で育てた完熟果の水分のみを使い、水も添加物も一切加えず製造しています。独特のまろやかな甘みが特徴で、血圧が気になる方などの健康維持はもちろん、炭酸やお水で割って「飲む健康酢」として、あるいは納豆に少し垂らすなどの調理酢としても楽しんでいただけます。
柿を通じて地域経済を再生し、荒れた山を再び豊かな里山へと戻していくこと。伝統を守る一方で、不定期で開くカフェでは新緑や柿の風景を楽しみながら、ゆったりとした時間を過ごしていただきたいと願っています。私たちの柿を手に取っていただくことが、この美しい景色を守る力に繋がっています。