牡蠣の臭みが苦手な人は少なくありません。
そのイメージを払拭するほどの牡蠣を作りたいと
生まれたのが「かんでおいしい健牡蠣」です。
そのネーミングには、生産者の思いがぎっしり詰まっています。
食べ物を噛むと、ふわっと香る。
人はその香りがいいと「おいしい」と感じる―。
川崎水産の牡蠣は、噛んでこそおいしい牡蠣なのです。
もう一つの由来は、生産者である健さんが作った牡蠣。
「自分がおいしいと思える牡蠣しか作らない」
社長の川崎健さんは自信を持ってそう話します。
言い切れる理由。実は川崎さん自身、牡蠣が苦手でした。
牡蠣どころか、「食」に全く興味がありませんでした。
おいしいと評判の牡蠣がどうやって生まれたのでしょう。
幼少時代にさかのぼります。
創業は1964年、初代社長の父が42歳で他界。
若干14歳の川崎さんは、学校に行きながら家業を手伝いました。
敷かれたレールを何となく歩んでいた川崎さん。
ある出来事をきっかけに、人生が変わったといいます。
中学3年生、野球部でのエピソード。
ライトで8番、何だか冴えない気分だったという川崎さん。
自分なりに研究を重ね、打つスタイルを変えて挑みました。
すると、試合で2塁打、3塁打を連発、大会を優勝に導くヒーローになりました。
スポーツを通じて、「努力すれば叶う」という経験を得た川崎さん。
導いたものは「研究心」でした。
牡蠣でも、何かヒットさせたい!
「食」に興味がなかった川崎さんが取り組んだのは、
”自分がおいしいと思えるもの”を追及していくことでした。
チャンスはある日突然やってきました。
26歳の時でした。
「ある人に牡蠣を送って欲しい」という依頼が舞い込みました。
牡蠣を送ったその翌日ー。驚いたことに日経新聞のコラムに掲載されたのです。
全国のレストランから問い合わせが相次ぎました。
眠れないくらい電話が鳴ったといいます。
これまで、真摯に向き合ったものづくりが評価された瞬間です。